E 今回のACID CITYの参加、どんな感じで引き受けてもらったの?
G 太郎さんから連絡が来たんです。もともとEMMAさんと太郎さんのDJでクラブ遊びにはまりだしたので、二つ返事で。
E ありがとうございます。でも心情的にはそこだけでもないでしょ?ACID HOUSEってことで云うと実はGonnoだけ驚きが無いんですよ、参加アーティストの中で。
G 逆に自分が『ACID HOUSEとかテクノとかの人』として認識されてることを、そんなによくわかってなかったです。
E あははは。うそ!だってあのAcidise #2は、すごいヒットしたし、云ってみたらACIDアンセムみたいになってますよ?
G あれも『ACIDフレーズが入ったダンスミュージック』っていう風な認識でしかなかったので。今ではACID HOUSEも好きですけど、たとえば他の作品が全部ACIDのもの、というわけでもないんで。ちょっとわからなかったですね。HeartbeatのミックスCD、フランソワやエンマさんのCDにも収録して頂けて嬉しかったです。個人的にはフランソワさんよりもEMMAさんの方が掛け方が好きでした。笑
E 笑 ヒット曲はどうしても印象が付いちゃうよね。自然にやってきたっていうのは、すごくわかってるんだけど、聴く側としては『Gonnoさんのパーティ行けばACIDフレーズみたいなのがけっこう出てくんのかな』とか期待するわけで。
あとは多分ACIDやってる人が少ないから、余計にイメージが付き易いんですよ。
G キヒラナオキさんのDJがすごい好きで、キヒラさんのかけるACID HOUSEが大好きだったんです。そこで洗礼を受けた部分がありますね。キヒラさんのかけてるレコードの後追いしたりして。
E キヒラ君の場合、けっこう古い曲も多いでしょ?80年代後半から90年代頭。
G それこそ、今僕もよくかけてるACID HOUSEのレコードはキヒラさんがたまに掛けてた93年のオランダ盤とかだったりです。
E ACIDの入りってのは、シカゴでもNYでもなく、一段落した後のHardfloorの周辺で、けれどもHardfloorじゃなかったってことですよね?そしてキヒラ君。
G そうですね。もともとハウスミュージックから入ってるので。NYハウスとかです。
E NYハウスから入ってんの?
G そうですね、厳密に言うとそれこそsweetest day of mayとか、ターンテーブル持ってないときにCDシングルで買ったりです。
E 日本だったらGOLDの流れだよね。やっぱNYが強かったからかな。
G そうです。ストリクトリー・リズムのレコードをたくさん買ったりしてました。どうしても他の、たとえばシカゴのリリーフとか、ああいうレコードを聴いても最初は全然ピンとこなかったんですよ。でも数年後にNYハウスに辟易してきた時があって、その当時の彼女や友人のDJがテクノやシカゴものが好きだったので、聴いてみたらどんどん影響されていって。キヒラさんを聴き出した時期と重なりますね。
E なるほど。アンダーグラウンドかどうかの境目は、本当に大きな意味があると思うよね。最近は特にそう。バランス感がアンダーグラウンドな方向に収まってる人って、本当に少なくなったでしょ。
G 音楽の側面から言うと表層的だなっていうのは、僕もすごく感じたりします。以前にも話しましたが、嫌ですよねその、たとえばDJの営業の時に盛り上がるものばかりかけて、家に帰ったら好きなものを聴く、みたいなのって。なんかちょっと。
E プレイ自体、そこは名前が売れてる売れてないに関わらず、誰でもそここそ自由にできる部分じゃないですか。
G 僕はDJをすることって、音楽を掛ける側と踊る側の会話だと思ってます。
E 会話だよね。だから、何か相談されたら俺も本気で答えるようなDJをしようと思うよね。
でも、ちゃんと会話してるつもりでも、本気で考えてその子に伝えていても、結果それで怒られちゃったりするんですね。
つまり、その子は俺にそんなこと言われたいわけではなくて、単に同調して欲しかったり、大丈夫って言ってほしかったりね。
G とても良い例えですね。
E 相手が望むことをそのまま言ってあげてるだけだと、それは会話ではないように思う。無責任というか。
それと同じようなDJが多いね。
まあ現実には、相談されても困るんだけど俺。笑。
GONNOとか狭間だもんなぁ世代的に。
G 気が付くともう長い間DJもやってるんですけど、まあ云ってしまえばアンダーグラウンドなところでずっとやってたと思うんですね。そういう立場だから、マジョリティなクラブミュージックの視点があんまりわからないんですけど、個人的視点からやっぱりアンダーグラウンドなシーンに属すると思うので、たとえば華やかで綺麗な格好した女性のDJがいるシーン?よりお客さんが大勢ではなかったり、っていうのはあると思います。
E あははは。それ仕方ないよ。ただ、あの中から何人かは残るよ。考えてることが真面目な子もいれば、何の為にやってんの?って子もいるし、プロとして真剣にやってるかどうかも、ひとりひとり違うからね。それは男も女も変わらない。
G そうですね。DJプレイの内容をこれから問われるんでしょうね、きっと。そういう環境と僕がずっと居たような環境…たとえば僕みたいなのをブッキングしてくれるような日本でのオーガナイザーやプロモーターはとってもチャレンジングで音楽が好きだと思うんですね。でも、閉鎖的にならずに、なんかそういう区分けみたいなもの、ファッションとか、チャラいとか、暗いとか、地味とか、そういった境界線が無くなったらいいのになって思ってて。みんな混在していて良いと思います。
E 中にはさ、Gonnoと一緒にやれるようなキラキラした女の子DJがいてもいいと思うんだよね。でもなかなかそうはならない。それは付き合ってる人間の問題がある。付き合ってる人間が、その価値観を見せつけるような人だと、最初は何とも思ってなかったのに、その価値観に追い着こうとする人が生まれたり。セレブDJ目指すような子も呆れるほど出てくる。時代錯誤だと思うけど。
G そうですね。時代錯誤ですね。リアリティがない。
E いまGONNOは何を目指してます?
G たとえば日本のロックって、はっぴいえんどの頃は日本語で歌って、なんでロックなのに日本語で歌うの? みたいな風に揶揄されていた時期があったらしいんですけど、ダンスミュージックってまだまだ、日本人のトラック?ほんといいの?とか、DJでも、どうせ日本人だから良くないでしょって行かないみたいな風潮がやっぱりまだまだあると思うんですね。僕はそこを変えたくてずっとやってきた感じです。
E 日本からクオリティで勝負したいと。
G テクノのシーンでは一時期は卓球さんとかケンイシイさん田中フミヤさんの、ジャパニーズテクノっていうのがあったと思いますけど。
E あとはU.F.O.の初期の頃は、ACID JAZZシーンをリードしてたよね。後追いじゃなくて。カッコ良かった。
G レコード店の友人から聞いた10年前くらいの話ですけど、たとえば僕のレコードをおすすめしても『これ日本人でしょ?』って、聴かずに置かれたりすることがあったみたいなんですよ。
E レコード屋で聴きもしないで置くっていうのは、相当聴いてる証拠ですよね。やっぱりそれまでの蓄積されたものがそういう評価ってことだよ。
G ああ、なるほど。それすなわち日本人のトラックで失敗した、っていう。
E もちろん真っ当なものもあるんだけど。クオリティ+日本固有のものを作らないと駄目なんだと思う。
G 例えばダウンロード販売って功罪はあると思うんですけど、良い点があると思ってるんです。こないだ岩手の水沢でDJして、街自体には勿論東京より人が少ないんですけど、でもちゃんとパーティーにはみんな集まって来て。レコード屋もないけど、買ったデータでDJしていたりして。ダウンロードした音楽を使う事自体がいいかどうかっていうのはまた別の話になりますけどね。個人的にはレコードの音が好きなんで。ただ、そういう広まり方もしてるんだなって、ちょっと感激はしました。もしかしたらその系譜で時間が進めば、それこそ水沢でこんなシーンが在るとか、EMMAさんもよく行ってらっしゃいますけど、北見にもこんなシーンが在るとか、そういう風になると面白いですよね。
E うん。それが自慢出来るシーンならいいよね。
G 僕、初めてGOLDに遊びに行った時に一番びっくりしたのは、満員だったからってのもあるんですけど、DJが誰がやってるかよくわかんなかったですよ。でも、みんな勝手に一晩中踊ってる、みたいな。それが一番驚きでした。
E 大人の遊び場でしたからね。だから勝手に遊ぶのが普通で。コンサートみたいに何時にどうのこうのっていうのは、それはそれで。でもクラブはこれ。
G その絵面を観て当時はコンサートやライブがとっても格好悪く感じたんです。今だからこそいろんな良いライブ観てるんでアリだなとは思うんですけど。ただクラブっていうところで言うとそう云った匿名性ってすごい重要なんですね。
E クラブがどう発展するかって未知数だけど、DJが5人出て、こっちも5人、こっちは4人ってなっちゃったら、もう音楽の公害ですよ。騒音じゃなくて、なんていうか、音楽から逃れたいと思ってしまう。それは突き詰めていくと、ひとりのDJを聴きたいって発想になっていく。
G 役割分担ができてるといいんですけどね。フロアごとに。
E なかなかそこまでコントロールできないから、チグハグになってるんだろうな。普通にDJブースに乗っても有名DJならOKっていうお店ばっかりになっちゃったのは、管理できてないってことだから。
G ああ、なるほど。
E まだ音楽の制作とか音楽の区切りという部分ではあるけど、クラブはそれを現実的に失くしてしまった。境界線を。
G それ、日本のクラブを見てると多少感じるところあります。僕が思う音楽的という観点で言ったら、たとえばEMMAさんがGOLDでやってた時よりも、大きい括りでのクラブシーンは音楽的ではないと思います。時間が経ってクラブ自体が新しいものじゃなくなっちゃったっていうのも、もちろんあると思うんですけど。
E 本当は、全部がちゃんと分かれていて、みんなに品があれば、『アンダーグラウンドの日本の今の代表は俺です』とGonnoやNOBUが言えるようになってたはずだと思うよ。こんなに時間かかっているのは、わかり易い方向、金を生む方向にフォーカスしてしまってるからで。品格も失ってるしね。そういう時代でもあるのは充分わかってるんだけど、それにしても酷すぎるなとは思う。
G EMMAさんでもそう思いますか。
E どうしても今のこの東京のスタイル、今の日本のクラブというしきたりの中で、これを打破する力が必要なんですよ。GonnoにしてもNOBUにしても切り拓く世代だから。
G NOBUくんは完全に日本を代表するDJだと思います。ぼくはまだまだ自信がないですけど。
E 仮想敵がいるというより、そういうものにうんざりしてる大人達が沢山いるので頑張って下さい。笑
G そうなんですね。なかなかそういう声って聞く機会がないですから貴重です。
E 何もみんな、懐古主義なわけではないんだ。ただ、媚び売り過ぎでしょ。かっこいい事やれば子供なんかついてくるって思ってやらないと。今のクラブは、若いってだけで特権があって、それが俺らの頃と全然許され方が違ってる。
G その子達に責任感がなければいけない、ということですか?
E 本当はね。でも、誘導してるのは大人だから。子供達は自分達向けのコンテンツがどんどん増えて、変わる必要性も勉強する必要性もない。
G 云うなれば、同人誌的な。
E 今のままでアナタは素晴らしいって。
G たしかに、20代の人ってDJ問わずスモールイズビューティフルみたいなのがありますよね。小さい人数の中で、好きな傾向の人達が集まって楽しむ、みたいな。なんでしょうね?
E 放棄してんのかなあ? 深層心理では。
G そういうマスというか、多数の人に影響されるのが恐かったり不安だったり、小さい頃にそういうものを目の当たりにしていたのかもって感じます。でもだからといって閉じてしまうのはちょっと寂しいですね。
E それをね、いろんな意味でいい方向に変えていく為には、クラブの場合はしっかりとした楽曲が必要になってくると思う。最初の制作は、U.F.O.から頼まれたから始めてはいるんだけど。
G それ僕も持ってます。
E 何がしたかったのかな?って今思うと、いい曲を作れば、絶対誰かが聴いてくれるだろうっていう考えだった。今回のACID CITYに関しても、自分がACID HOUSEを意識的にプレイして3年経って、それをちょっとした感じで広めたい、と。
そうすると楽曲制作がおのずと必要になってくる。で、今回は初めてのことだらけで、なかなか上手くいかなくて。ソフトをロジックに変えたっていうのも、大きかったんだけど。303クローンの使い方も、なんとなくわかってたつもりが意外に難しくて。笑
G ほんとですか?
E どこで広げてとか、どこでブリブリさせて、みたいな、そういうの俺が一番わかってると思ってたつもりが、ひどいもんですよ。
あとは重ね方。Gonnoの曲聴くと、その辺しっかりしてる。
G ありがとうございます。こないだ(10月に開催されたAcid City@AMATE-RAXI)でもかけて頂いて嬉しかったです。
E かけ易いからいつもプレイしてます。雰囲気がね、殺伐としてないというか、幸福感があるし、幻想的云々じゃなくて。現実味があるということに置き換えてもいいかもしれない。
G なんていうか、トランシーなACIDを目指して作ったものではないんですよ。端的に言ってしまえばストリクトリー・リズムを聴いてきた僕とエイフェックス・ツインを聴いてきた僕が一緒になったっていう音楽です。特にSloppy Acidはそういう曲だと思います。
E エレクトリックなんだけど、ほんわかしてるというか。不思議な曲ですよね。リフの重なりとかも素晴らしいです。ああいう曲作れたらなあ、とか思っちゃったりして。量を多くしていくとすごく大変なのわかっちゃったから。
G エンジニアリング視点で見ると、音数が多いのは一番大変ですよね。
E ダンスミュージックは特に、最初から最後までの全体のイメージに統一感がある方が楽曲として優れてる様に感じるね。Masters At Workが出てきた頃は、作り込みが新鮮だったんだけど。
G そうですね。洗練されてましたよね。プリミティブじゃなくてもっと音楽しているというか。
E シンプルで隙があると、これを何かとロングミックスしてみようとか、アカペラかぶせてみようとかっていう発想が生まれるし、刺激される。たとえば、リルルイスのフレンチキス、然り。何か足りないこの感じっていうのが、いいような気がする。ピエールにしてもそう。
結局フレーズが悪いから、音数がどんどん増えていく。だから、ちょっと不完全なぐらいが丁度いいダンスミュージック感でカッコイイ。
G 今けっこう海外では、そういう揺れ戻しみたいなのが、すごい多いみたいですよ。L.I.E.S.ってレーベルとか、本当にこれ出していいの?みたいなシカゴハウスぽいものをリリースしてたりとか。逆に際限なくて面白かったりしますね。
E SLOPPY ACIDは、完成度が高すぎるのとは優れ方の方向性が違うというか、これ以上やらなくてよかったねって思えてしまうっていうか。
G あはは。
E 303欲しくない?
G 欲しいですよ。でも高くて買えないです。笑
E 欲しいんだ。笑
クローンは何持ってるんでしたっけ?
G クローンはAcidlabというメーカーのものです。太郎さんも使ってると思います。
E あ、うちらが使ってるベースライン3ね。黒いやつ、一緒?
G そうです。太郎さんから『いいクローン機ない?』って訊かれて、実は僕があれをおすすめしたんです。僕はカラーがシルバーのものを使ってます。
E そうなの?! 全然知らなかった。。
G でもオリジナルのTB-303やっぱり欲しいですね。クローンよりもっと加工せずにすぐ使えるだろうになぁと。
E こないだピエールとごはん食べてて、日本の相場17万~20万ぐらいだよって言ったら『世界的にも同じくらいだ』って。で、リーズン使ってるって。ニューリーズン。
G ソフトウェアのリーズンですか?
E そう、でも昔のリーズンと全然違うって。へえと思ってさ。
G ちなみにAcidise #2のアシッドラインもソフトウェアです。リアリティがどっちがあるかっていうのも、なかなか区別が付きにくいかもしれないです。
E ただ、ぶっ壊れ方的な制御ができない感は出せないのでは?ちょっと早めにいっちゃうとことか、それが次の回りの時には、違うタイミングで。あれは細かくシュミレートしようと思ったらえらいことだよ。
G アナログ機械なんで、シーケンスのランダムなズレですかね。TB-303って一番特徴があるのは多分アクセントなんだと思います。そのアクセントで、ハードウェアなのかソフトなのかってのが結構わかると思います。まあ、電気信号だし多分いい加減なことになるんだと思います。本物のハードウェアって。
E それをシュミレーションする必要性もないもんね、考えてみたら。
G そこまでいっちゃうともう本当にオタクな世界ですね。笑
E 新しい機材とかは?最近使いだしたのとか。
G 例えばSloppy AcidではローランドのMC202とか使ってます。ちょうどブレイクのリフのところとか。MC202はMIDIがないんで、アシッドラブとシンクして。で、MC202のシーケンサーでフレーズ作って、それをコンピューターで録って重ねていってみたいな感じですね。
E コンピュータからは離れないと思うけど、他にアナログの方向にいく感じっていうのはないですか?
シンセをアナログにしてみようとか。
G んー。僕ちょっとへそ曲がりな人間で、たとえば、最近ヨーロッパとかでもアナログ機材だけで作ってますとかアナログ機材だけでライブしますっていうスタイルが揺れ戻しで多くなっているんですけど、その行為自体がなんかちょっと様式美に見えちゃって。
E うんうん。
G ラップトップだけで音楽つくったりライブやる人でもカッコイイ人達をたくさん見てきてるんで、スタイル云々というところでは特にこだわりはないんです。ただ、デジタルの世界ってミュートの空間ってのが限りなく無音に近いじゃないですか。その無音っていうのが妙に心地悪く感じたりするときはあります。なので最近カセットテープとかでわざと録ったりとかするときもありますよ。
E なるほどね、それは面白いね。そういう実験的なことで言うと、今考えてるのは、まずACID HOUSEを10分のカセットテープに録音して、それを最終的にエンドレステープに改造するんですよ。10分のカセットは今10本450円だから、手間はかかるけど1本45円で作れる。100本4.500円。
G なるほど。それって中を開けて、要はオープンリールみたいに切って?
E 切って、つなげて。要するに枠を作ればいいだけだから、エンドレスに回す為の。ランダムに切るしかないからどんなループになるかもわからないし、そこが面白い。偶然性、しかもACID音がずっとエンドレスになってるっていう。
G それいただきですね!
E 今言っちゃったけど。それを次の作品にしようと思ってて。ギャル系ショップに無料配布して。渋谷をACID CITYにする。みんなカセットデッキが無いか。。笑
G 笑 エンドレステープいいですね。今日自宅に帰ったらやっちゃいそうです。
E 『無音になるのが気持ち悪いからカセットテープのヒスノイズを入れてみる』聞いた人達は『効果ってどのくらいなの?』って結果を考えちゃうけど、本当は、やること自体に意味があるでしょ。これだよね。
こういう発想こそが次を生むと思う。ACIDと一緒で。
G ACID HOUSEってどの世代にも響きますよね?DJでプレイしてて思うんですけど。
E まずかっこいいもん。イメージから何から何まで。
G みんな面白がるというか。
E でも嫌いな人もいる。踊りにくいとか。よくわからないとか。
G やっぱりいますか?
E やっぱりいますよ。昔からダンスミュージックが好きな人でも、あのカッコ良さがわかんない人って、結構いるんじゃないかな。
G もともと奇特な出自ですもんね。
E だからそんなに大きく流行る必要性もないし。大きくなっても困っちゃうっていうか。ただこれが根付いてほしいとは思う。残したいただきんですよね。ずっとやってきてる人達がいるのもわかってるし、Gonnoみたいにアンセムまで作ってるような人に対して、恥ずかしくないことをやりたいんです。だから、このプロジェクトに関しては絶対誰にも損はさせない。そういう意味でもACID CITYに参加してほしかった。ここからもまた、こないだのパーティやったみたいな感じで、一緒にやれればね。
G あのパーティすごい楽しかったです。高校の同級生も来てたんですよ。15年前にEMMAさんがMISSIONやってる頃とかに2人で遊びに行ったりしてたやつで。当日仕事あるからEMMAさん聴かないでGonnoの途中で帰るわって言ってたんですけど、結局最後までいました。笑
E 一緒にやるDJも選べなくなってきてるのもあるでしょ?Gonnoのところは真面目な人達が多いシーンな筈だから不満は無いか。
G その真面目というのは、シリアスっていう、チャラいの対義語ってことですよね?
E 音楽に対してね。恥ずかしくないようにやろうとか、そういう気持ちがある人が多いような。
G 2000年代後半ぐらいで音楽シーン自体がすごい停滞したじゃないですか。でもぼくはあまり関係なく続けてきたんで、これからも単純に自分に正直なことをやるのみ、というか。なのでどんな人と共演するのが嫌とかはないです。
E 逆に、時代が良かったかもしれないですよ。
G もしかしたらそうかもしれないですね。
E 子供っぽいクラブじゃなくて、世界に誇れるシーンにしていきたいよね。
G 僕もそう思います。自分ひとりでは何も変えられないけど、ちゃんとした事を一つ一つやっていこうと思います。